ベルギーでの卵子提供
実妹が卵子提供をOKしてくれた。日本は諸事情で断念し、ベルギーでの検討を始める。
UZ Brusselsという大学病院で匿名でない提供卵子で体外受精を行っているとのことで問い合わせを行った。大まかに電話で聞いたところ
- ドナーと揃って初診(ドナーの配偶者は同意書があればOK)
- 待機期間は6週間ほど
- 現地に来るのは初診と採卵・移植の2回
- 費用は10000ユーロ(130万円)くらいなイメージ
- 心理カウンセリングは英語OK(妹の英語力に不安はありつつ、、)
11月の初旬に1月の初診予約を取り始めるとのことだったので、連日電話をして1月の予約を確保。午前中に心理カウンセリング、午後に医者、看護師と3件のアポを1日でアレンジしてくれるという合理的なシステムで、日本とのアプローチの違いに、海外対応への慣れを感じる。
事前に行う血中ホルモン検査、感染症検査から遺伝子検査などのリストが送られてくる。11月中に妹は日本で検査を行い、問題がなければ渡欧、という段取りで無駄がない。こういう検査って日本は自費診療なのかな、いくらかかるのかどきどきする。
それにしても、妹は決まったら、即行動で心強い。旦那もいいんじゃない、との感じだったということだけれど。なんにしてもうまくいけば、彼女の産休復帰に間に合いそうでよかった。
同時並行でダメ押しのサードオピニンオンを取りに行って、自己卵子ので体外受精をもう一回だけごり押ししてみるつもりだ。どーなることか。。
日本での卵子提供
実妹が卵子提供をOKしてくれた。
当初は本当にいいのかと悩んだが、時間が経つにつれて、やはりこれ以上は望めない恵まれた選択肢だ!と気持ちが追いつく。自己卵子での体外受精がダメだという結論を受け入れられた。
スペインでもフランスでもは、匿名の提供卵子が義務なので、実妹の卵子提供となると候補となるのは、日本とベルギー。
セカンドピニオンを取りに行った先からは、ベルギーは匿名でない提供卵子での体外受精ができるという情報を仕入れていた。
まずは、妹の在住している日本でできないか、JISARTのガイドラインを読んだうえで、自分が該当しそうだったため、都内ふたつのクリニックに問い合わせ。
クリニックKの場合:
- 提供を受ける夫婦、ドナー(既婚者の場合は夫も)揃って初診
- 手続き開始その後、夫婦単位、個人単位で心理カウンセリングを受ける(のべ7〜8回の来院が必要)
- 理解していると判断できたら、倫理委員会に申請期間としては半年〜1年必要
- 詳細を問い合わせた際に、ドナーの夫も来院する必要があるが大丈夫か、ドナーのこどもにも事実告知が必要だが大丈夫かなどの確認があり。
クリニックSの場合:
- 弁護士立ち上いの合意書が必要
- 費用100万程度が必要
- 採卵の際はドナーだけの通院でOK
- メール問い合わせのみなので、断片的な情報だが、多少プロセスの柔軟性はクリニックによるのかなと感じた
が、結果的には絶対的なハードルがあり断念。どちらのクリニックも、義務付けられている心理カウンセリングで、フランス人旦那の心理カウンセリングに英語対応できないこと、通訳NGという点がネックになったので具体的な解決策がなかった。
卵子提供についての家族会議
グローバル社会とはこういうものだな。
一晩たったら、母親から妹に卵子提供のことを話した旨、彼女は基本的に私がそうしたいならOKな感じだからなるべく早く直接話してみてとのメールが入っていた。母親もいてもたってもいられなくて、JISARTで日本の卵子提供について調べたり、妹に打診したりしたのだろうと思うと、やはり家族は優しいなあと思う。私が不妊治療を開始する時にも、前のめって妹にその話をしているのを思い出して、母親のせっかちさが少しおかしかった。
旦那には、「妹がもしかしたら、卵子提供OKかも」と伝えると、「絶対に妹のプレッシャーになるようなかたちにはなってはいけない。母親からは何も聞いていない体で話してみたほうがいい」と言われたが、それはちょっと無理があるでしょと笑ってしまった。よくも悪くもうちの家族で、「言わないでね」が守られることはほぼない。
確かに、家族の優しさに甘えて負担になるのは心苦しい。
とか考える間も無く、翌日早朝には妹から、話は聞いたから電話してくれとメッセージがある。それにしても話が早すぎでしょ。
妹からは、ず自分が当事者ではないという前提で考えた場合には、他人からの卵子提供のほうがいいと思っていること。生まれたこどもというよりも、私自身との関係を変えないかということが主な不安要因であること。もしかしたら卵子提供ということを難しく考えすぎていて、もっとおおらかな目で見れば大したことではないのかも、などなど。
私も自分の意見がはっきり定まっているわけではない。ただ両親には受け入れやすい選択肢であることは明確だし、それを考えると妹から卵子提供を受ける方に気持ちが傾く。まだ時間をかけてお互い考えようということになった。
数時間後には「色々考えたけど、やっぱり結局一番は君の力になりたいという気持ちが強いから、ふたり(私と旦那)がそれを望むならどうぞって思っているよ。旦那とはまだ話せていないけど」とのメッセージ。
私は本当に家族に恵まれているなぁ。小さい頃からの妹の姿が走馬灯のごとく感じられる。自分のあとをついてきた妹、二段ベッドで妹とよく電気を消してからも話し込んでいたこと、反抗期で扱いづらかった妹、大学生になってからはむしろまた近い存在になり、妹とする旅行が一番楽しかった。社会人になってからも、いい同居人。私が東京を離れたのち、結婚し、母親になり、こうやって生活にラグができて、自然と共有しないことが増えて、お互いの家族が優先になって、距離ができていくものだろうと感じているところだった。
当然、わたしは妹の気持ちがすごく嬉しい。そして妹は私がそう感じることが、自分たちのフラットな関係を変えてしまわないか。自分が妹に一生ものの借りをつくったと思ってしまう、もしくは、いつか喧嘩した時に、卵子を提供してやったのにと意地悪な気持ちになってしまったら、と不安に思っているようだ。
後日、母からは、妹はできれば私にもこどもを持って欲しいと思っていること。自分の子育てをあまり共有できなくて、私にこどもがいたらもっといろんなことが話せて楽しいのになと思うことがある。と話していると聞いた。
そうだよなぁ、そうしたら楽しいよなぁ。
Zouzouとの総括
昨日のセカンドオピニオンに続き、本日は旦那も一緒にこれまでずっと診てくれていたZouzouのもとへ。
彼の意見は、「このまま自己卵子の体外受精を続けても可能性は低いので、卵子提供を受けること真剣に考えるべき」とのことなので、今回はふたり揃っての面談。
「私の口から、可能性がゼロという言葉を聞くことはない。ただ、客観的に言って、ホルモン刺激を6サイクル行い、移植を行ったのは1回というのは、反応は極めて低い。普通は卵胞がひとつしかない場合、50%の確率でそもそも採卵を見送るようなレベルの話で、移植に1回しか至っていないのに、こんなに続けたいという人は初めて」
副作用をそんなに感じなかったせいか、私は注射や診察をすごく負担と感じることもなく、あまり続けることに疑問を持たなかった。思い返してみると、体重が2〜3キロ増えたが、特に不調はなかったが。
最初から2年できなかったら、不妊治療はストップしようと思っていた。自分でもうけた期限さえまだ来ていない。気持ち的にはまだやれるのに、と思いながら話を聞いていた。
また、体外受精は医療行為なわけで、医療ミス、感染リスク、ホルモン剤の長期的な影響にさらされる。パーセントの問題はさておき、まあそれはそうだ。(後から、調べたけれど、乳がんや子宮がんなどのリスクが増大するという医学的結論は出ていなそう。)
公立病院の医師は特にこの健康リスクについて言及しなかったため、昨日は「自費ならもう少し続けられるのかも」と続たいという方向でまとまっていたが、今日の話で旦那は少し躊躇したようだった。
セカンドオピニオン
これまではパリ17区にある私立のクリニックにお世話になっていたが、彼の「このまま自己卵子の体外受精を続けても可能性は低いので、卵子提供を受けること真剣に考えるべき」との最後通牒を受けて、セカンドオピニオンを取りに行くことにした。
体外受精でこどもを授かった同僚から、評判のいい医師を2〜3人教えてもらった。まず最初に予約が取れたのは、Hôpital Fochというパリ郊外にある病院。そこで受けた説明は、大筋これまでの担当医の判断を支持するものだった。
また、「公立病院では特に」これ以上の体外受精を勧めづらいとの説明があった。要は、「投資対費用効果が見込めないのに、これ以上続けられない」「国の医療費は無限ではない」ということであろうと理解した。至極まっとうな話だと思う。
7周期トライして、私たちが実費負担したのは10万円にもならない。ホルモン剤も診察料も公的保険や任意保険でカバーされているだけで、実際にはもう200万円近くかかっている。私たちがフランスでなく、アメリカや日本で体外受精を行っていたら、同じように「予算は無限ではない」ともっと強く意識したであろう。
私たちの強い希望に負けるかたちで、今回の医師は病院での会議にかけてみることを了承してくれた。
卵子提供の説明会に参加した
さてCycle 7も不調に終わったところで、翌日はスペインのクリニックの説明会に参加。定期的にパリのホテルのセミナー会場で、1日数回の説明会と個別相談を行っているようで、すぐにスペインに行く機会が作れなそうな私たちには渡りに船。
スペイン人医師とフランス語を話すコーディネーターがセットで対応してくれる。
私たちの最大の関心は、「日本人のドナーがいるのか」ということだったのだけれど、アジア系のドナーは中国人、韓国人、フィリピン人などで日本人ドナーはいないとのことだった。
また念のため、「自分でドナーを連れてきた場合、例えば妹の場合はどうか」という訊いてみたが、法律でドナーは匿名でないといけないと決まっているとのこと。ちなみに、匿名でアレンジできた場合(例えばコーディネーターに入ってもらって、双方の匿名性が担保できるなど)には、やってもらえるのか聞きそびれたので次回訊こうと思う。
またこのクリニックでは数サイクルかけて卵胞を育てて採卵するという方法を行うらしく、それをやってから卵子提供でもいいのではないかと言われた。(フランスではこの方法をあまり実施していないらしい)。この点もフランスの専門医に訊いてみることにする。
卵子提供を受けての体外受精はだいたい7000〜8000ユーロほどのようだった諸費用いれて100万円強といったところか。アメリカに比べたら破格の値段。なんで日本人はスペインでやらないんだろう。今度調べてみよう。
35歳でやっても38歳でやっても特に大きな違いはないようなので、少しずつ時間をかけて検討していこうと思う。
Cycle 7 - 不妊治療を再開
9月13日
5月にZouzouから衝撃の卵子提供オプションを提示されてから、旦那とは、「近いうちにスペインには行ってみよう。でも、当面は体外受精を継続の一択だよね」ということで落ち着いていた。
夏休みをがっつり楽しんで、パリに戻り9月に入ってZouzouと不妊治療を再開するにあたり予約を取った。体外受精をまだ続けます!!と気合を入れて説明しようと気負っていたけれど、さらっと体外受精のプロトコルの説明に入った。
薬が変わったのだけれど、、、違いは追々調べることにする。
9月19日(J1)
生理開始。
9月20日(J2)
Pergoverisを225UI注射。
9月24日(J6)
Zouzouのモニタリング。右に2つ、左に2つ確認するも、ホルモン剤に反応しておらず、まだ小さいとのこと。本日は血液検査を不要とのこと。Pergoverisを300UIにアップ。
今回がうまくいかなかったら、このまま(自己卵子の)体外受精を続けるか検討した方がいいというテンションだった。
クリニックを出るとまた涙目。泣くな泣くなと思うけれど、やっぱりどうしようもないんだなぁと。そして最近この話をできる人がどんどん少なく感じる。
その日の夜は、旦那ともう少し早めに卵子提供の情報収集をしようと話をする。
まずは、体外受精でふたり子供ができた上司に他の医者を紹介してもらう。ひとりはかなり有名な人らしく初診は2か月先だった。もうひとりはパリ郊外だから比較的空いており、ちょうど今回のサイクルが終わった頃に予約を入れられた。それにしても医者って何を基準に選んだらいいかわからんなぁ。
Zouzouから5月に教えてもらったアソシエーションのサイトを覗くと、スペインのクリニックが定期的にパリで説明会を開催しているよう。ちょうど今週末にもやっているようなので、その中のひとつに行くことにする。
卵子提供を考えるタイミングなのかぁ。
9月27日(J9)
何だか今月は初っ端から薬が効いていないというのは、初回のMenopurの薬が強すぎて?効かなかったときや、自然周期でホルモン剤なしだった時のような感じで、採卵まで行かないんじゃないか感がすごい。一応打っているけど、何だかなー。。。
明日は友人宅でディナーなのに、持っていくの面倒だなぁ。
9月29日(J11)
エコーに行ったらば、血液検査の数値を見て排卵してしまったのではないかと危惧される。エコーを見てみると、8mmのものが一つしか確認できず。中止。
だめな予感はしていたけれど、、、やっぱりか。
今回は土曜日で旦那も一緒に来ていたので、帰りはレストランで気分転換。翌日は卵子提供の説明会にも行くし、自己卵子での体外受精がだめだったら、というシナリオが結構リアルに感じる。
そしたらふたりとも会社休んで数ヶ月は旅行に出るとかね。アリだなー。